ガソリン税に代わる新たな車の税金として、「走行距離課税」の導入が検討されています。これは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及により、減少している税収を補うための新しい仕組みです。
「一体いつから始まるの?」「どれくらいの金額を払うことになるの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、この新しい税金の仕組みから、想定される徴収方法、そして家計にどれくらいの影響があるのかを、分かりやすく解説します。
今後の動向を知る上で、ぜひ最後までご覧ください。
走行距離課税とは?どこから徴収される?

結論から述べると、「走行距離課税」は、車の走行距離に応じて課税される新しい税制であり、具体的な徴収方法や開始時期はまだ確定していません。 現在、日本で検討されている主な徴収方法は2つあります。
- GPS機能を活用した車載器の設置
- 車に専用のデバイスを搭載し、走行距離をリアルタイムで計測・記録する仕組みです。
- メリット: より正確な走行距離に基づいた課税が可能で、不正を防ぎやすいとされています。
- デメリット: GPSによって個人の移動履歴が把握されるため、プライバシーの侵害という大きな懸念が指摘されています。また、車載器の取り付けや維持にかかるコストも無視できません。
- 車検時のオドメーター(走行距離計)の目視確認
- 車検ごとに車のオドメーターを確認し、前回車検からの走行距離に応じて税額を算出・徴収する方式です。
- メリット: 新しい機器を導入する必要がないため、システム構築のコストを抑えられます。
- デメリット: 走行距離が正確に把握しづらく、車検のタイミングでまとめて徴収されるため、納税者の負担感が大きくなる可能性があります。
現在、日本での自動車関連税収は、ガソリンや軽油にかかる「揮発油税」や「軽油引取税」が大きな割合を占めています。しかし、環境意識の高まりから電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及が進み、これらの燃料税収が減少傾向にあります。走行距離課税は、将来的に枯渇する燃料税収に代わる新たな財源を確保するために、検討されている重要な税制改革なのです。
走行距離課税、日本での導入時期はいつ?今後の見通し
走行距離課税の導入はまだ決定しておらず、2025年8月現在、具体的な開始時期の公式発表はありません。
この税制は、国会や政府内でも活発に議論が続いており、様々な観点から慎重に検討されています。一部では「2030年頃の導入も視野に入れている」といった見方が報じられていますが、これはあくまで推測であり、正式なスケジュールではありません。
なぜ導入に時間がかかるのか?
- 制度設計の複雑さ: 徴収方法、税率、対象車両、そして徴税システムの構築など、解決すべき課題が山積しています。特に、GPSを利用する場合は、プライバシー保護のルールをどのように定めるかが大きな焦点となります。
- 国民の理解: 走行距離課税は、多くの国民生活に直接影響を与えるため、十分な議論と説明が必要です。特に地方在住者や運送業界など、特定の層に負担が集中する可能性があるため、その公平性をどのように担保するかが問われています。
- 技術的な課題: 誰が車載器を製造・管理し、どうデータを収集するかなど、技術的なインフラ整備にも多くの時間とコストがかかります。
走行距離課税はいくらになりそう?海外事例を徹底解説
日本での走行距離課税の具体的な税額は未定です。 しかし、すでに同様の税制を導入している海外の事例を参考にすることで、おおよその目安を推測できます。
以下の表は、海外の事例をまとめたものです。
国・地域 | 課税対象 | 課税額(目安) | 備考 |
ニュージーランド | ディーゼル車など | 1kmあたり約5円 | ガソリン車は従来通りガソリン税を支払う。ディーゼル車など、燃料税を徴収できない車両に走行距離課税を適用。 |
アメリカ(オレゴン州) | 任意のプログラム | 1マイル(約1.6km)あたり約1.9セント | 「OReGO」という任意参加のプログラム。ガソリン税と走行距離課税のどちらかを選べる。 |
イギリス | 検討中 | – | ロンドン市内への乗り入れに対し、走行距離に応じた課税を検討。交通渋滞緩和も目的。 |
これらの海外事例から、日本でも「1kmあたり数円」という形で課税される可能性が指摘されています。
具体的な負担額を試算してみましょう
もし「1kmあたり5円」の税率が導入された場合、年間1万km走行する一般的なガソリン車の場合、年間約5万円の新たな税負担が発生する可能性があります。これは、現在の自動車関連税に加えられるものなのか、あるいは燃料税がなくなることで相殺されるのかによって、家計への影響は大きく変わってきます。
メリットとデメリット:なぜ走行距離課税が議論されるのか
この新しい税制には、賛否両論があります。以下に、その主な点をまとめました。
メリット
- 税負担の公平化: 現在、EVやHVは燃料税を支払う必要がないため、ガソリン車と比べて税負担が軽いです。しかし、道路はすべての車が利用しています。走行距離課税は、この不公平感を解消し、すべての車両が公平に道路の維持費を負担する仕組みを作ります。
- 環境負荷の軽減: 走行距離が長いほど税金が高くなるため、不要不急の運転を控える意識が高まり、結果的にCO2排出量の削減につながる可能性があります。
- 道路財源の安定化: 化石燃料への依存を減らし、EVやHVが普及しても安定した税収を確保できます。これにより、将来にわたって道路の維持・管理が安定します。
デメリット
- 地方在住者や運送業界への負担増: 公共交通機関が未発達な地方では、車が生活に不可欠であり、走行距離が長くなる傾向があります。これにより、都市部との間に税負担の格差が生じる可能性があります。また、走行距離が非常に長い運送業界は、大幅なコスト増に直面し、それが物流費の値上げや物価高騰につながる懸念があります。
- プライバシー問題: GPSを使った徴収方法の場合、個人の移動履歴が把握されることになり、プライバシー侵害の懸念が指摘されています。
- システム導入・維持コスト: 膨大なデータを管理し、課税を行うための新しいシステムを構築・維持するコストも大きな課題です。
まとめ:今後の動向に注目!
結論として、走行距離課税は、日本の将来の税制として重要な検討テーマです。
しかし、導入時期、税額、徴収方法、そして地方在住者や運送業界への配慮など、解決すべき課題は山積しています。国民の理解を得るためには、これらの課題に対する具体的な対策が不可欠です。
現段階では詳細な仕組みや開始時期、金額は決まっていませんので、今後の政府や国会の議論、そして最新の報道に注意深く確認することが大切です。